別冊キラン|カンボジアを歩く 田島伸二













































2014年、カンボジアを歩く

皆さま、お元気でしょうか?
新しい年になったと思ったら、あっという間に日が過ぎていきますね。


私は1月13日に成田を発って、バンコク経由でカンボジアのアンコールワット遺跡のあるシアムリアップに来ています。これは日本のある民間団体から依頼されたもので、外務省が支援しているプロジェクトです。

東京は寒波襲来の雪模様でしたが、こちらは31度の暖かさ。1月14日と15日、シアムリアップの農村地域で、成人の識字や環境改善のためにいろいろのことを行いました。

今回は絵本の製作や成人教育センターの研修やワークショップなど盛沢山です。



今日は、ふたつのことを行いました。そのひとつは村の木炭を使って飲み水をろ過する新式の「ろ過装置」を作ったことです。

水が汚れているため、カンボジアの村人が、特に子どもたちや妊婦たちが病気になったり苦しんでいることを伝え聞いたからです。

わずか2時間でろ過装置は完成しました。これは良質の木炭がもつろ過の機能を最大限に利用して完成したろ過機です。

これまで、村では伝統的に木炭を焼いていました。木炭は燃料にも肥料にも、ろ過においても驚異的な効果をもたらします。それを見つめる熱っぽい村人の眼差しには圧倒されました。

良かった、良かった。何か村に光が灯った瞬間です。そうした瞬間に立ち会える嬉しさーこの喜びはなにものにも代えがたいものです。



またもうひとつは、村が直面している台所を預かる主婦たちのカマド(竈)の改善のために、実際に煉瓦と粘土で3時間ぐらいかけて村に新式のカマドを作ったことです。

カンボジアの農村には、ほとんどカマドらしいカマドがないのです。非常に効率の悪いカマドで主婦が長時間働いているのです。

予め煉瓦や粘土を依頼して調達してもらっていましたので、格闘2時間で「わあ、出来た!出来た!すごい」。

カマドが完成したことによって、たったひとつの焚口で燃やすことによって、2か所で料理を作る事ができました。かつ、燃料を非常に節約できるという画期的なカマドなのです。

日本では、およそ想像できないでしょうが、村人がきちんと用意してくれた良質の粘土と煉瓦のおかげで、写真でお伝えするように素晴らしいカマドができました。

こんなカマドがカンボジア全土に広がっていくと、台所の主婦たちがどんなに助かることか・・・・。

そして燃料の節約にもつながるのですが・・・・。

こうしたわずかの知恵と技術の展開で、カンボジアの農村は喜び溢れるような世界になっていくのです。


                                                         明日は農村で、バナナの幹や雑草などを使って紙漉きのワークショップを開催します。

さまざまな雑草から、漉き上がるさまざまな紙によって、教育と文化とアートと収入が有機的に結びついていくのです。

識字教育とは観念的なものではなく、生活の中に具体的な喜びを作りだしていくのです。嬉しいです。

世界に誇るアンコールワット遺跡の文化を、これらの紙すきによって、どのように表現して伝えていくか、新しい展開に私の胸はドキドキときめいています。

これまでアジアのいろいろの国々に学びながら、ユネスコ(ACCU)やJICAやICLCで実践してきたことが全部活きて繋がっているのです。村人の喜びようがまるで夢のようで、毎日感動的な時を過ごしています。



このあとは31日まで識字教材の製作ワークショップ、村の問題点の絵地図ワークショップ、そしてスタッフ研修や村に完成した成人教育センターの運営についてなどスケジュールが一杯です。

しかし、食べ物はとても美味しく、今回初めて参加した広島から参加した弟と舌鼓を打っています。

2月1日からは、インドのデリーで開催される「文学と識字の国際会議」に出席し、2月17日に日本へ帰国予定です。

今年もよろしくお願いします。

お元気で!

2014年1月16日

田島伸二